Scandinavian Consulting Agency

News

【セミナーレポート】スウェーデンへ家族と移住したエンジニアが語るサラリーマンが海外へ転職する方法

3月9日に渋谷にて代表吉澤の一時帰国に合わせ、標題のセミナーを開催しました。

 

おかげさまで定員20名に対して24名と会場は超満員となり、参加率も100%、欠席者は一人もいませんでした。

 

当日お話した内容は以下の通り。

1自己紹介、 2何故スウェーデンなのか、3海外就職の具体的ステップと講義をし、4の質疑応答という流れでした。

実はこのセミナー、1の自己紹介と2の何故スウェーデンなのかで66%の時間を割いています。何故ならば、この2つがスウェーデンを始めとした海外での転職活動時に真っ先に必要となってくる部分であるからなのです。

スウェーデン人を始めとした欧州諸国の人たちは、我々日本人とは仕事に対する価値観が根本的に異なります。別に彼らは不真面目でもなんでもなく、働く時はキッチリと働きます。

彼らはプライベートの生活を最優先に考えています。家族や恋人との時間、自分の趣味に費やす時間を非常に大切にしており、仕事はプライベートの幸せを最大化する手段に過ぎないのです。まずこの点を理解しておかないと、どんなに素晴らしい職務経歴書を用意したとしても、後の面接でどうも話が噛み合わなくなってくるでしょう。

とにかく、彼ら諸外国の人たちは家族や自分の幸せの為に生きており、それが実現できる場所を先に選びます。そしてその地で何ができるのか、つまり仕事をそれらの土台の上にチョコンっと乗せるイメージです。

 

セミナーではまずはこの点について繰り返し伝えました。欧州で働く上で、この部分が本当に重要なのです。

 

続いて何故スウェーデンなのかについて、私の例を交えてお話しました。これは面接でも必ず聞かれますし、移住してからもしょっちゅういろいろな人から聞かれます。

この質問に対して回答に窮するようでは海外移住なんぞ夢のまた夢で終わるでしょう。

 

とりあえず日本を出たい」

 

「何となく海外での生活に憧れる」

 

こんな抽象的な理由では海外の企業はどこも雇ってはくれないでしょう。

例えばスウェーデンの企業が人を新しく採用する場合、以下の順に採用のハードルが上がっていきます。

1 スウェーデン国内で人を雇う

2 EU域内から人を雇う

3 EU域外から人を雇う

 

採用する側は、雇ったはいいがすぐに辞められてしまうことだけは避けたいと思っています。ですから、1の場合は言葉も文化も互いに同じ土俵となるため、リスクは低くなると考えられます。2の場合は一応外国人としての採用となりますが、EU域内ですと言葉も近い国もありますし、手続きもさほど大変ではありません。問題は3のEU域外から人を雇うパターンです。つまり我々日本人はここに該当します。スウェーデン企業が日本人を雇うということは物理的にも文化的にも、そして言語としても遠く離れた国の人を雇うことになり、短期間で辞められてしまう可能性は1と2よりかは高いと言っても間違いはないでしょう。

 

つまり、日本人が欧州での転職活動をするというのはかなりのハンデ戦ということなのです。ですから、スウェーデンであれば”何故スウェーデンなのか”を延々と語れるぐらいでないとハンデは払しょくできないでしょう。

 

ここは各個人の幸せの定義に基づき、何故その国・場所・社会でないといけないのかを力説する必要があります。これはどことなく日本の就職活動と似ているところがあるかもしれません。例えば私がホンダを受けた時、面接で聞かれたのが「何故トヨタでなくて日産でなくてホンダなの?」でした。これと同じことです。

何故デンマークでなくてノルウェーでなくてスウェーデンなの?」と聞かれて「うぅぅ・・・」となるようではその場で終了でしょう。

という訳で、日本の大手企業で内定を取るテクニックが多少は応用できるかもしれません。

 

また、よく聞くダメな例も紹介しておきました。

上記スライドの通りですが、EU域外から人を雇うのはただでさえリスクが高いのに「自分の力を試したい」等と言っている人は怖くて雇えません。自分ができることぐらいきちんと把握し、転職先の会社で何にどれだけ貢献できるのかは自分なりに語れないと”残念な人”だと思われてしまいます。

 

また、家族の話が一切出てこないのもダメです。お父さんの転勤に家族がついていく、というのは欧州ではありえません。家族の総意としてその国を選んだと言える一貫性のあるストーリーを語る必要があります。

 

欧州で働く上で必要なマインドにも触れました。よく、「Noと言えない日本人」なんて耳にしますが、外国人を目の前にした日本人は「No!!」とばかり言う人が多い印象です。実際は「Noしか言えない日本人」が正しいのかもしれません。こういう人は欧州では嫌われてしまいます。ただただつまらない人だからです。

欧州で働くのであれば、最初からNoという選択肢は存在しないと考えておいた方が良いでしょう。「YES と HOW YES」の2択なのです。たいていの場合、なかなかシンプルにYESと言えないのが世の常なので、人間の真価が問われるのは「HOW YES」の部分となります。このHOW YESを考えるのが仕事そのものでしょう。

「昔からこれでやってきていますので・・・だからできないんです。」

「〇〇さんがこう言っていますので・・・だからできないんです。」

こういった日本ではよくあるような不思議な言い訳は欧州では通用しません。彼らは前例を踏襲するよりも変化を好み、時代に合わせてより合理的なものを作ろうとします。日本国内、及び日本企業の駐在員としての経験しかない人が、こういう考え方・文化を知らずしていきなり欧州で働くのには無理があるでしょう。

 

 

このように、欧州で仕事を得るための最低限必要な価値観と考え方について具体例を交えながら丁寧に解説をしていきました。

その後は海外企業へ転職活動をする上で必要となるツール、職務経歴書やCover letterの書き方の説明をしました。これらは以前ライフハッカーに寄稿した記事に詳しく書いてあるので以下のリンクよりご確認いただければと思います。

家族の幸せのためにスウェーデンに移住したエンジニアが実践した「海外企業へ転職するための具体的なステップ」

 

講演後は数多くの質問をいただき、好評の内に終了となりました。

 

15分の休憩を挟み、後半のセッションはスウェーデンの若者政策研究者である、両角達平氏をお招きしてスウェーデン社会について語るトークライブを行いました。

両角氏はスウェーデンに4年間住んでいた経験があり、アカデミックにスウェーデン社会について語っていただきました。スウェーデン社会の成立ちや制度、枠組みについて両角氏にお話しいただき、その中身について私が現地で生活をして肌で感じている部分をお話させていただきました。

また、来場者の皆さまからも活発な質問をいただき、我々で一つ一つ回答をしていきました。

 

次回のセミナーは5月中旬を予定しています。今回と同様の海外企業転職の具体的方法についてのセミナー(開催日未定)が一つと、もう一つはスウェーデン社会について実際にスウェーデンで生活をしているスウェーデン人ファミリーに登壇していただき、彼らからスウェーデンのリアルを話していただこうと考えており、こちらは5月22日(水)の夜、場所は都内近郊で予定しております

 

今後ともLIV INNOVATIONをよろしくお願いします。

代表 吉澤

関連記事

ページ上部へ戻る